ごあいさつ
継承と革新
日本国際経済学会 元会長 大山 道広
日本国際経済学会は50年を超える長い伝統を持ち、わが国の国際経済学研究者が会する代表的、総合的な学会として発展してきました。毎年一度開かれる全国大会では、1950年の第2回大会以来、各年の日本経済にとって最重要の国際経済問題を共通論題として取り上げ、報告と討論の内容を機関誌『国際経済』に記録してきました。また、関東、中部、関西の各支部では、年間を通して月例の研究会を開き、各地域で「顔の見える」研究交流をはかってきました。これらはいずれも本会独自の誇るべき伝統であり、今後とも継承していくべきものと考えます。
時代の転換の中でさらなる発展をめざすためには、伝統を継承するとともに革新を断行することが不可欠です。本会もこれまでの慣行を見直し、あらためるべきはあらためていく時機を迎えていると思います。
第1に、本会の運営を活性化するため、地域的・機関的なバランスに過度にしばられることなく全国から人材を登用する必要があります。大学のあり方が問われ、変容しつつある時代、学会もまた評価され選別されていきます。とりわけ、若い研究者、優れた研究者の積極的な参加なくしては本会の未来もありません。井川前会長から引き継がれた課題ですが、この際役員・会長の選出方式の思い切った透明化・民主化をはかるべきではないでしょうか。
第2に、国際経済学の高度化、国際化がますます進行する中、我々の研究成果をこれまで以上に世界に発信していくことが求められています。すでに7年間にわたって韓国国際経済学会との交流事業を行ってきましたが、発信の幅を広げ、内容を深めていくことが望まれます。具体的には、近隣諸国の国際経済学会との相互乗り入れ、学会機関誌の一部英文化・国際化などの方策を考えています。
会長就任にあたり、微力をかえりみず本会運営の改革について問題提起し、皆様のお考えをうかがって参りたいと存じます。ご理解、ご協力をお願い申し上げます。
2002年11月30日