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国際経済学会の機動性を高めるために

国際経済学会会長 本山美彦

今年の国際経済学会第56回全国大会のテーマは、大会終了後の翌日に開催された国際シンポジウムも含めて、「開発」のあり方を問うものでした。市場経済を基礎に置く社会のみが生き残り、市場経済をなんらかの形で制御しようとするあらゆる社会システムが崩壊したのは、確かです。アジアの時代と言われるときに、そこで含意されているのは、グローバルなこの市場経済の認知のことであり、それはそれで当然の認識なのでしょう。しかし、いま、経済の発展センターの急速な地理的移転に伴って生じているのは、世界各地で顕著になった「労働の質の破壊」現象です。非常に多くの労働形態がいたるところでバーチャル化させられているというのも、確かなもう1つの現実です。この負の側面から目を逸らさずに、3日間にわたって真剣な議論が交わされたことは、私どもの学会の健全さを示すものとして私は誇りに思っております。それに、どちらかというと中堅の精鋭研究者をメインの報告者に、大家を予定討論者に配置した今年のプログラムは大きな成果をもたらしたと言えます。それでも、自己のものとは異なる他人の見解の論理的道筋を理解する努力が見られない発言が時折あったのは寂しい限りです。

今年の会員総会では、会長と本部事務局との分離の可能性を開くこと、本部の事務軽減化を目指す外部委託化への方向、役員分担決定方法の改革、等が承認され、学会としての機動性が大幅に高まりました。これで、私どもの学会は研究に専念できる体制固めができたと思います。これまでも、各支部で隔月の定例研究会を開催しておりましたが、従来のシステムに加えて、専門分野毎の部会の恒常的開催、大学院生を含む新人の発掘機会の増加といった前向きの新しいシステムの構築に向かうチャンスが出てきたと思います。全国大会報告者の選定も、各専門部会の推薦を取り入れたものになれば、全国大会の成果はますます確かなものになるでしょう。しかし、その場合でも、学問とは一色でなく、多様性の認知こそが真髄であることだけは看過されてはならないことだと私は信じております。これまで以上に、私どもの研究組織を前進させるために、会員の皆様のよりいっそうのご協力をお願いします。

1997年10月27日

                              

1997年度会員総会議事録

第1日  日時:1997年10月10日14:00〜14:30 会場:西南学院大学号館304

     座長:山本繁綽常任理事

 1. 平成8年度決算案について、財務担当責任者・本多健吉常任理事よる説明、松村文武監事による監査報告があり、『国際経済学会ニュース1997.9.10』2頁掲載の決算案が承認された。

 2. 平成9年度事業計画案について、本部事務局より説明があり、『国際経済学会ニュース1997. 9.10』1頁掲載の事業計画案が承認された。

 3. 平成9年度予算案について、財務担当責任者・本多健吉常任理事より説明があり、『国際経済学会ニュース1997.9.10』3頁掲載の予算案が承認された。

 4. 平成9年度新入会員について、本部事務局より説明があり、『国際経済学会ニュース1997.9.10』4頁および本号4頁記載の計76名の入会申込者を平成9年度国際経済学会新入会員として承認した。

 5. 第57回全国大会(1998年)について、関東学院大学で開催することを承認した。(丹下敏子理事より引受の挨拶があり、1998年10月24日(土)・25日(日)の両日に開催する予定であると発表があった)

 6. 第57回全国大会プログラム委員について、本山会長より、丹下敏子理事(委員長)、大山道広、石井安憲の両常任理事(主催支部の関東支部3人)、井川一宏常任理事、田中素香理事、阿部顕三理事(全国理事の3人)とする報告があった。

 7. 本山会長より、小田正雄、江崎光男、岡地勝二の3会員を幹事に指名したとの報告があった。

第2日  日時:1997年10月11日14:10〜14:40 会場:西南学院大学号館511

     座長:山宮不二人理事

 8. 国際経済学会の運営に関する理事会構成員のアンケート結果について、本山会長から趣旨説明((4)の機関誌については出版担当責任者・井川一宏常任理事から提案趣旨の説明)があり、以下の諸件が承認された。

   (1) 会長選出機関と本部事務局の関係について、「会長を出す機関が本部事務局を担うことを原則とするが、必ずしもこれを固定的に考えない」(『国際経済学会ニュース1997.9.10』6頁参照)こと。

   (2) 会長選出方法について、本山会長提案3(『国際経済学会ニュース1997.9.10』6頁参照)に代えて会長より新提案があり、「理事・監事候補者選考方法および理事・監事選考委員会」内規を次のように改正すること。

   「理事・監事候補者選考方法および理事・監事選考委員会」内規(1997年10月11日改正)

  (3) 外部事務委託機関等についての本山会長提案2(『国際経済学会ニュース1997.9.10』6頁参照)のうち、平成10年4月1日より外部事務委託機関を学会事務センターから学協会サポートセンター(横浜市)に変更すること(本号3頁参照)。

  (4) 機関誌について

     @機関誌の別冊については、従来通り世界経済研究協会より発行をお願いし、別冊の表記は、表紙の体裁を変えないように努めること。

     A機関誌のうち、全国大会報告号と投稿号については、それぞれ別の通し番号を付ける(これに伴い、全国大会報告号の第46巻第2号を第46号、第47巻第2号を第47号、第48巻第1号を第48号に改正し、投稿号の第46巻第1号を投稿第1号、第47巻第1号を投稿第2号に改正する)こと。

     B投稿号の世界経済研究協会からの発行について、全国大会報告号と同様な形でお願いする方向で検討すること。

     C投稿号の表紙については、国際的に受け入れられる形式などにも考慮して今後検討すること。

9. 「役員・本部機構」内規について、以下の改正が承認された。

「役員・本部機構」内規(1997年10月11日改正)!

  なお、補充された理事会構成員の任期については、同内規の[役員の任期]の4)を参照のこと。

10. 本山会長より、松永嘉夫常任理事の逝去に伴い、内藤能房理事を常任理事に指名したとの報告があった。

11. 韓国国際経済学会との研究交流について、本山会長より、国際経済学会の会員が韓国国際経済学会に出席する場合の渡航費、および韓国国際経済学会の会員が国際経済学会に出席する場合の滞在費は、国際経済学会側の負担とすることが提案され、承認された。

12. 国際経済学会(関西支部暫定版)ホームページについて、10月2日に開設されたとの報告が本部事務局より行われ、以下のことが承認された(本号3頁参照)。

  (1) 国際経済学会(関西支部暫定版)のホームページ(http://www.hannan-u.ac.jp/JSIE/)を国  際経済学会全体のホームページとすること。

  (2) ホームページのサーバーを当面阪南大学に置き、文部省学術情報センターに登録すること。

外部事務委託機関の変更について

平成9年度の会員総会でご承認いただきました通り(平成9年度会員総会議事録8-(3)参照)、平成10年4月1日より、外部事務委託機関を学会事務センターから学協会サポートセンターに変更いたします。「学協会サポートセンター」の連絡先は下記の通りです。

   学協会サポートセンター Support Center for Societies(SCS)

    〒231  横浜市中区長者町4-9-8-303    TEL 045-671-1525 FAX 045-671-1935

    E-MAIL KHB20710@niftyserve.or.jp     

なお、平成10年3月31日までは、従来通り「学会事務センター」と外部事務委託契約が続きますので、会費納入等お間違いのないようお願いいたします。

国際経済学会ホームページの開設について

平成9年度の会員総会でご承認いただきました通り(平成9年度会員総会議事録12参照)、伊田昌弘会員(阪南大学)のご努力によって、平成9年10月2日より国際経済学会のホームページが開設されました。URLは下記の通りです。

国際経済学会ホームページ http://www.hannan-u.ac.jp/JSIE/

当面サーバーは阪南大学に置いたまま、学術情報センターに登録いたします。まだ立ち上げたばかりで、多くの情報は入っていませんし、英語版も現在作成中です。ホームページに関するお問い合わせは、伊田会員(ida@hannan-u.ac.jp)へお寄せ下さい。

各支部の活動報告

(『国際経済学会ニュース』1997年9月10日号掲載分以後)

【関東支部の活動】

◎ 関東部会

●日時:1997年9月20日(土)   会場:日本大学経済学部5号館4階会議室

 1. 日中貿易と環境問題 和気 洋子(慶應義塾大学) 

 2. WTOにおける環境関連貿易紛争の動向と問題

   −環境に関わるWTO諸協定の検討− 岩田 伸人(青山学院大学)

【中部支部の活動】

◎ 中部支部定例研究会ならびに支部総会

●日時:1997年5月31日(土)   会場:愛知学院大学楠本学舎歯学部第1会議室

    座長 多和田 真(名古屋市立大学)

 1. グラビティモデルによる国際貿易の要因分析

   −南太平洋島嶼国のケースー 梅村 哲夫(名古屋大学大学院) 

 2. 1950年代の日本の対米綿製品輸出自主規制について 山田 正次(南山大学)

【関西支部の活動】

◎ 関西支部研究会

●日時:1997年9月27日(土)   会場:関西大学百周年記念会館

  経済発展経路の検討:ラテンアメリカと東アジア 

 1. 新移行論争再論 −セーモ諸説の批判的検討− 原田金一郎(大阪経済法科大学)

 2. アジアの工業化と日本企業

   −日本企業の多国籍企業化とANIES型成長の論理− 中村 雅秀(立命館大学)

 General Commentator 松永 宣明(神戸大学)

【九州・山口地区の活動】

◎ 国際経済学会九州山口地区研究会・東アジア学会合同研究会

●日時:1997年7月26日(土)   会場:西南学院大学学術研究所大会議室

 1. 日本企業の海外金融子会社による資金調達の効率性 王  忠毅(西南学院大学)

 2. 東アジアの物流と韓国港湾 −釜山・光陽港を中心に− 尹  明憲(北九州大学)

 特別報告:北東アジアの地域間交流と地方自治体の役割    富野暉一郎(島根大学・元逗子市長)

各支部の今後の予定

◎ 関東部会

●日時:1997年11月15日(土) 午後1時30分  会場:日本大学経済学部3号館4階会議室

 1. G3の非公式参考相場圏の試行とアジア通貨危機 黒沢 清一(元日本銀行) 

 2. タイ経済の構造変化と金融危機 東  茂樹(アジア経済研究所)

 3. 最近のアジアの通貨危機とIMFの役割 斎藤 国雄(国際通貨基金)

◎ 中部支部定例研究会

●日時:1997年12月13日(土) 午後2時    会場:中京大学本館第2会議室

    座長 山田 正次(南山大学)

 1. 環インド洋経済圏について

   −南アフリカ・アジア諸国の経済関係を中心にー 須藤 裕之(名古屋文理短期大学) 

 2. ヴェトナム経済の中長期展望 −動学的CGE分析− 江崎 光男(名古屋大学)

◎ 関西支部シンポジウム(EU特集)

●日時:1997年12月20日(土) 午後1時30分  会場:関西大学百周年記念会館

    総合司会 内田 勝敏(東海学園大学)

 1. EUの産業・競争政策 Lysiane Cartelier(パリ第13大学)

   仏語通訳          井上 泰夫(名古屋市立大学)

 2. EUの貿易・投資政策 交渉中

 3. EUの通貨統合政策 藤田 誠一(神戸大学)

  (プログラムは後日関西支部事務局より郵送いたします。)

◎ 国際経済学会九州山口地区研究会第4回研究会

●日時:1997年11月29日(土) 午後1時〜5時  会場:久留米大学御井学舎100号館1棟1階111教室

 1. 日米間における物流業務の比較検討              姜 昌賢・柴田達男(九州大学大学院)

 2. 世界の軍拡と途上国の貧困問題 中野 洋一(九州国際大学)

 3. ドイツ循環型経済・新廃棄物法 豊田 譲二(福岡県立大学)


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